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保育士の配置基準とは、保育士1人が何人の子どもを担当するかを定めた国の最低基準です。
この基準は、子どもの安全を守るだけでなく、保育士の業務量や働きやすさ、保育の質にも直結する重要な制度です。
※今回取り上げる「保育士の配置基準」とは、児童福祉法に基づき、国が「認可保育所」を対象として定めている人員配置の最低基準を指します。
(認可外保育施設や小規模保育事業等には、別の基準が設けられています)
保育士配置基準の推移
国の基準では、年齢によって保育士1人あたりの担当人数が決められています。
2024年4月から国は配置基準を見直しました。
特に注目されたのは、長年据え置かれてきた3歳以上児の配置基準です。
↔フリックしてご覧ください。
| 年齢区分 | 旧基準(〜2023年度) | 新基準(2024年度〜) | 見直しのポイント |
|---|---|---|---|
| 0歳児 | 子ども3人:保育士1人 | 変更なし | 早期から手厚い配置 |
| 1〜2歳児 | 子ども6人:保育士1人 | 変更なし※ | 今後さらなる見直し議論あり |
| 3歳児 | 子ども20人:保育士1人 | 子ども15人:保育士1人 | 約50年ぶりの改善 |
| 4〜5歳児 | 子ども30人:保育士1人 | 子ども25人:保育士1人 | 1948年以来初の見直し |
なぜ今、配置基準が見直されたのか?
1)実態と基準のズレが大きくなっていた
特に4〜5歳児の「30人に1人」という基準は、集団規模が大きく、活動も活発になる年齢に対して現場感覚と合っていないという声が長年上がっていました。
2)保育士の負担軽減と人材定着のため
・子ども一人ひとりに十分に目が行き届かない
・事故防止や配慮が精神的な負担になる
・業務過多が離職につながる
こうした課題を受け、「配置基準の見直し=働き続けられる環境づくり」として注目されました。
3)保育の質を高めるための社会的要請
少子化が進む中で、「量の確保」から「質の向上」へと保育政策の軸足が移りつつあります。
配置基準の改善は、子どもの育ちをより丁寧に支えるための基盤整備とも言えます。
見直しによって期待されるメリット
◎ 子ども一人ひとりと向き合える保育へ
担当人数が減ることで、
・子どもの小さな変化に気づきやすくなる
・丁寧な声かけや関わりがしやすくなる
といった、保育の質そのものの向上が期待されます。
◎ 保育士の心身の負担軽減
・視野に入れる人数が減る
・安全面へのプレッシャーが和らぐ
・クラス運営に余裕が生まれる
結果として、長時間労働やストレスの軽減が期待されており、「この仕事を続けたい」と思える環境づくりにつながる可能性があります。
ただし、課題を指摘する声も
効果が期待される反面、現場からは課題を指摘する声もあがっています。
◎ 人材確保が追いつかない
新基準を満たす人員配置が難しい園があるのではないか、という意見があります。
2024年7月時点でこども家庭庁が行った調査によると、3歳児クラスで約5%、4・5歳児クラスで約6%の保育園が新基準を満たすことができていません。
また、基準を満たしていない園の6〜8割が今後の改善見込みを「未定」と回答しています。
◎ 新基準でも十分ではないという声も
新基準に対してもなお不十分であるという声もあがっています。
民間による調査では『最適だと思う配置基準の人数』がすべての年齢で、新基準よりさらに手厚い配置となる結果になっています。
★参考:こども家庭庁「保育提供体制の強化 (職員配置基準の改善等)」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/a0a8d8e1/20251029_policies_hoiku_172.pdf
★参考:株式会社コドモン「<76年ぶりの改定から1年 保育士配置基準の実態調査>」
https://www.codmon.co.jp/pressrelease/11367/
おわりに――“最低基準”が動いた意味
今回の配置基準見直しは、あくまで「最低基準」の改善です。
しかしその一歩は、
・自治体独自の上乗せ配置
・処遇改善や働き方改革
・保育士確保策
へとつながる、大きな意味を持っています。
現場の声が制度を動かした今、この変化をどう活かしていくかが、これからの保育に問われています。


